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活力あふれる業界を目指して/理事長あいさつ

社団法人 自然科学書協会 理事長 後藤 武

 
 「自然科学書協会」は、理学・工学・医学・農学・家政学など5分野において出版活動を行う専門書出版社によって組織された団体で、第二次世界大戦の終戦間もない荒廃した社会情勢のなかでその産声を挙げました。当時、当然のことながら物資の欠乏は用紙を主とする印刷機材にも及び、出版活動は深刻な停滞状況を余儀なくされておりました。しかし、一般書はもとより、こうした自然科学系の分野に関する学術の復活・振興こそがこの国の窮状を救い、復興への道を切り開く大きな原動力となることを確信したわれわれの先達たちは、科学技術発展に資する出版活動を軌道に乗せるべく協同して尽力し、当時の文部省の勧奨も得て、1946(昭和21)年11月28日に任意法人として当協会設立(当初会員56社)に到りました。
 創立後は、自然科学系の専門書・教科書を含む啓蒙書の普及が科学技術の振興に不可欠であると訴え、それが当時の社会的要請や技術立国を推進しようとする国の施策とも合致し、その出版活動は科学技術の普及・発展に少なからず寄与することを得たものと自負いたしております。その後、1951(昭和26)年9月には文部省(現 文部科学省)所管の社団法人として認可され、以来、わが国で最も歴史ある出版関係団体のひとつとして鋭意活動を続け、今日に到っております。
 その活動を要約して回顧すれば、『自然科学書総合目録』の刊行(日本書籍出版協会創立時に権利譲渡)、関係学術団体との交流を介した講演会や映画会の全国各地での開催など啓蒙活動のほか、国内外におけるブックフェア開催やそれへの出展などを通して自然科学書の普及活動を推進して参りました。また、特に近年はそれらに加えて、著作権に関する知識の普及および出版者の法的権利確立に向けた様々な活動、出版物再販制度維持のための運動や出版物への消費税率軽減要請などのための活動、さらに会員向け研修会の開催などを精力的に展開いたしております。もとより、これら諸課題はひとり当協会のみで担える範囲を超えることから各出版関連団体との連携を重視し、日本書籍出版協会などとともに、文字・活字文化推進機構、日本複写権センター、出版者著作権管理機構などの設立・運営といった出版界の基盤整備にも積極的に参画して参りました。加えて、大震災被災者支援のための募金活動やブックフェア売上金からのその拠出など、会員の協力の下、関連団体と協調して震災復興支援活動にも注力いたしております。
 このたびの東日本大震災の被災地復興においても、「自然」に対する畏敬とともに人間の「知」の総合力の結集が切に求められていると考えます。当協会としても、定款に謳う自然科学に関する出版事業の文化的使命の達成を図り、かつ学術の進歩向上に寄与することを目指して事業を展開し、関係する多くの読者諸氏とも携えながら活力あふれる業界形成を担っていく決意を新たにいたしております。どうぞ、今後とも当協会の活動にご理解をいただき、末永くご支援・ご協力を賜りますようお願い申し上げる次第でございます。
 
( 2011 年 8 月 )

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